304L鋼の極低温セレーションにおよぼす諸因子の影響
Effects of Various Factors on Serration of 304L Steel at Cryogenic Temperatures
物質・材料研究機構
National Institute for Materials Science
柴田 浩司、緒形 俊夫、由利 哲美
kojichiekoshibata*yahoo.co.jp

Abstract : 昨年の秋季大会において、304L鋼で激しく生じるマルテンサイト変態に伴う発熱、ひずみ、強度変化の効果を計算シミュレーションにより考察し、マルテンサイト変態が304L鋼の極低温セレーションを生じやすくすることを示した。しかし、例えば、20K付近以下の温度で実際に観察されるオーステナイト相およびマルテンサイト相の強度の逆温度依存性(温度が上がると強度が高くなる)を計算シミュレーションの中で考慮すると、実際に反してセレーションが非常に生じにくくなってしまうなど、未解明の点がいくつか残された。そこで、今回は、極低温セレーションにおよぼす比熱、熱伝導、表面から冷媒への熱伝達、転位の運動の活性化エネルギーなどの因子の影響を含め、さらに詳細な検討を行った結果について述べる。
Keyword(s) : 極低温,セレーション,304L鋼,マルテンサイト変態,比熱,強度