Nb/Ag-Sn fcc相及びNb/Ag-Sn ζ相の相互拡散反応により作られたNb3Sn線材の超伝導特性
Superconducting Properties of Nb3Sn Superconductors made by Diffusion Reaction at Nb/Ag-Sn fcc Phase and Nb/Ag-Sn ζ Phase Alloys
A徳島大学,B物材機構
The University of Tokushima
松本厳A,井上廉A,菊池章弘B,竹内孝夫B,木吉司B
gen*ee.tokushima-u.ac.jp
Abstract :
Ag-Snの状態図をCu-Snの状態図と比較するとNb3Snを製造する上でより興味深い。なぜならCu-Sn fcc相のSnの固溶限界9.1at%だがAg-Sn fcc相のSnの固溶限界は11.5at%である。それに加えて、Cu-Sn ζ相は不安定で582℃〜640℃の限られた温度域でのみ安定であるけれども、Ag-Sn ζ相はSn含有量が11.8at%〜22.85at%もありAg-Sn ζ相は室温で展延性があり安定している。ゆえに、我々はNbマトリックスとAg-Sn合金芯の拡散反応について研究した。 Ag-9at%Sn fcc相とAg-12at%Sn ζ相の棒をNbパイプにそれぞれ挿入した、その複合体を直径0.88mmの単芯複合線に伸線加工した。できた単伸線からいくつかの短い線を切り熱処理をしてその超伝導特性を研究した。残った200本の短い単芯線はNbパイプに再び挿入し、外径0.88mmの200芯線に伸線加工した。200芯線もいろいろな条件の熱処理をした後、超伝導特性を測定した。9at%Sn及び12at%Snの単伸線は15.8K及び17.1KのTcそして16T及び17TのBc2(4.2K)をそれぞれ示した。一方、得られたIcは1μm以下の薄いNb3Sn層が原因で比較的小さい。AgにはNb3Sn層の形成速度を増やす効果は無い。しかしながら我々は200芯線を使うことでとても興味深い結果を得た。200芯線を使うことでTcとBc2(4.2K)はそれぞれ0.5K〜1K、2T〜5T増えた。また、Ic(4.2K)は1! 0〜100倍大きい値が得られた。拡散反応長の減少がこれらの画期的な超伝導特性向上を引き起こしたと考えられる。
Keyword(s) :
Nb3Sn,Nb/Ag-Sn fcc相,Nb/Ag-Sn ζ相,極細多芯線,,