高磁場における様々な温度条件下での磁気浮上力及び緩和特性

Levitation force and relaxation in various temperatures under high magnetic field


伊藤英輔,鈴木智之,澤孝一郎(慶大);長嶋賢,清野寛,宮崎佳樹(鉄道総研);酒井利樹,古賀信也(芝浦工大);坂井直道,平林泉(SRL);村上雅人(芝浦工大)
eisuke*sum.sd.keio.ac.jp

Abstract:  高温超電導体(HTS)はフライホイール電力貯蔵システム等の機器への応用可能性を秘めている。そのシステムでは、超電導軸受の採用により電力損失を大きく抑えられることが期待されている。高効率で強い載荷力を持つフライホイール電力貯蔵システムを実現する際には、より大きな磁必要であり、また回転損失や軸降下を抑えることが重要な課題となる。磁場供給源として超電導コイルを用いれば、永久磁石を用いた場合に比べてより大きな磁場を発生することができ、磁気浮上力が大きくなることによってより高効率で電力を貯蔵することが可能になる。また、冷凍機を導入し液体窒素温度よりさらに低い極低温下で運転することで、超電導体内に流れる臨界電流は劇的に大きくなり、高効率電力貯蔵が実現される。加えて、温度がさらに低くなることで磁束クリープが抑えられ、結果として軸効果を抑制することもできる。本論文では、高磁場下における温度と浮上力・緩和特性の関係について検討を行った。実験では磁場供給源として超電導コイルを採用し、また試料としてはYBCO超電導バルクを用いた。試料には、10Kから80Kまでの様々な温度条件下で2Tの磁場を印加し、その際の浮上力を時間とともに記録した。実験結果から、温度が小さくなるにつれて磁気浮上力は大きくなり、浮上力の緩和は小さくなることが確認された。しかしながら、浮上力に関しては、温度が小さくなるにつれて徐々に飽和していくことが確認された。