サファイアナノステップを用いた2次元APC導入MgB
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薄膜の作製と評価
Fabrication and characterization of MgB
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films with 2 dimensional APC on sapphire nano steps
野村佳代
(山形大);島影尚,王鎮(NICT);藤田静雄,亀谷圭介(京大);野口洋祐,齊藤敦,平野悟,大嶋重利(山形大)
des17253*dipfr.dip.yz.yamagata-u.ac.jp
Abstract: MgB
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は金属系超伝導体で最も高い転移温度(T
C
=39K)を持つことから、20K近傍での実用化が期待されている。しかし、実用化の際に重要とされる臨界電流密度(J
C
)が磁場中で低下することから、磁場中でのJ
C
向上が当面の問題である。このJ
C
向上には人工ピンニングセンタ(Artificial Pinning Center: APC)の導入が有効であり、特にJ
C
低下の原因である磁束量子を2次元で制御することで高い効果が得られると我々は考えた。本研究では、基板切断時に軸をずらすことで生じる基板ステップに沿ってZnOのナノワイヤを配列させ、2次元APCとして機能させることを目的としている。今回は、高いJ
C
を有する薄膜は低い表面抵抗(R
S
)を有することから、R
S
を測定することで超伝導特性を評価した。まず、無磁場中でナノワイヤを配列させていない基板では、基板ステップが薄膜に対してどのように影響するのか観察した。その結果、ステップを有する基板のR
S
はステップの無い基板に比べて高く、特にステップ幅が広くなるにつれてR
S
が高くなった。これは、ステップ幅がMgB
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のグレインサイズと同等の大きさになることで、ステップが結晶粒界と合い、その結果APCとなり無事磁場中でのR
S
の増加をもたらしたものと考えられる。磁場中ではこれがAPCとして動作すると考え、今後測定を行いその結果と、ZnOのナノワイヤを配列させた基板特性について当日報告する。