異なる成膜プロセスにより作製したSm1+xBa2-xCu30y薄膜の転位密度と臨界電流密度

Dislocation density and Jc value in SmBCO films prepared by various fabrication process.


;三浦 正志,一野祐亮,吉田隆,尾崎壽紀,高井吉明(名大);松本要(京大);一瀬中(電中研);堀井滋(東大);向田昌志(九大)
m_miura*nuee.nagoya-u.ac.jp

Abstract:  我々は、低温成膜(LTG)プロセスを用いてLTG-SmBCOを作製してきた。その結果、LTG-SmBCO薄膜は磁束ピンニング点としてナノサイズのSm-rich相、高密度な転位が存在し、5Tまで実用化線材NbTiと同等のJcを示すことを報告してきた。また、転位密度が高いほど転位が有効的なPCとして働き磁場中Jcが高いことも報告してきた。本研究では、通常のPLD-SmBCO薄膜、LTG法を用いたLTG-SmBCO薄膜、Vapor-Liquid-Solid (VLS)法を用いたVLS-SmBCO薄膜を作製し、それぞれの薄膜における磁場中Jc特性に及ぼす転位密度の影響について検討を行った。転位の種類としては刃状転位、螺旋転位が存在する。各プロセスにより作製した薄膜に存在する転位の種類をエッチピット法により評価を行った。その結果、PLD-SmBCO薄膜、LTG-SmBCO薄膜、VLS-SmBCO薄膜における刃状転位密度はそれぞれ1マイクロ平方メートル当たり8、25、9個存在することが確認された。一方、螺旋転位はスパイラス成長しているVLS-SmBCO薄膜のみにおいて観測され、1マイクロ平方メートル当たり4個であった。一定のJcを示すsingle vortex pinning 領域からcollective pinning領域へ遷移する磁場をクロスオーバー磁場 (B*)とすると、転位密度が高いLTG-SmBCO薄膜が最も高いB*を示し、刃状転位と螺旋転位を有するVLS-SmBCO薄膜はPLD-SmBCO薄膜に比べ高いB*を示した。