振動自己相殺型パルス管冷凍機システムの開発

Development of Pulse Tube Cryocooler System with Vibration Cancellation Method


鈴木 敏一,都丸隆行,佐藤伸明,春山富義,新冨孝和,山本明(KEK);幾島悠喜,李瑞(住電)
suzukit*post.kek.jp

Abstract:  パルス管冷凍機はコンプレッサーから供給されるガス圧の周期的脈動を駆動力としているため、パルス管と蓄冷管には圧力に応じた弾性伸縮が生じる。通常の、コールドステージがパルス管と蓄冷管によってコールドヘッドフランジから懸垂される構造のパルス管冷凍機では、この圧力によるパルス管と蓄冷管の弾性伸縮がコールドステージの振動雑音の起源の一つとなっている。そのため、振動を嫌う冷却対象には付加的な防振機構を設置しなければならなかった。今回の講演では、このようなパルス管冷凍機の振動起源自体を使った、コールドステージの振動低減法とモデル冷凍機による実証実験の結果について報告する。同等な構造を持つパルス管冷凍機2台を共通のコールドステージ上に配置し、周期圧力供給の位相に180°の差を持たせれば、パルス管と蓄冷管の弾性伸縮は互いに打ち消しあう。この考えに基づいたモデル実験で、従来型に比べて96%の振動低減を実現している。