工場内銅管検査のためのSQUID非破壊検査装置の開発

Development of SQUID-NDE System for Inspection of Copper Tubes in Factory


廿日出 好,奥野伸也(豊橋技科大);森憲亮(住友軽金属);田中三郎(豊橋技科大)
hatukade*eco.tut.ac.jp

Abstract:  伝熱効率の向上のため厚さ1mm以下まで薄肉化された銅製伝熱管においては、深さわずか数10μmの欠損が管割れの原因となる。現在、工場内で行っている超音波や渦電流を用いた品質管理技術では上記の微小欠陥の検出は困難であった。そこで、工場内で高速に移動しながら伸線される銅管を検査するために、高感度なHTS-SQUIDを用いた非破壊検査装置の開発を行った。本装置は、工場内の劣悪な磁気環境を低減するためのHTS-SQUIDグラジオメータ、銅管励磁用コイルをつけたポータブルなクライオスタット、銅管を移動させる電動モータ、ロックインアンプなどの計測機器群からなる。本装置を用いて、直径6.35mm、肉厚0.8mmの銅製伝熱管表面の深さ10μmの長手方向切り欠き傷を検査した。このときの測定条件は、SQUID-サンプル間距離1.5mm、励磁磁界強度10μT(周波数3kHz)、サンプルは連続で移動させ、速度は32m/minであった。この結果、深さ10μmの欠損による磁気信号を十分なSNで検出することができ、実用化の可能性があることがわかった。