窒素強化オ−ステナイト系ステンレス鋼の極低温疲労特性の推定
Prediction of fatigue characteristics of nitrogen strengthened austenitic stainless steel at cryogenic temperature
原研
°中嶋秀夫,濱田一弥,高野克敏,工藤祐介,堤 史明,奥野 清
E-mail : nakajima*naka.jaeri.go.jp
Keyword(s) : 4K S-N Curve,Prediction,Stainless Steel,JJ1,ITER,
核融合炉用超伝導コイルの構造材料は、液体ヘリウム温度(4K)で、くり返し作用する電磁力に耐える必要があり、4Kでの疲労特性(S-N曲線)が必要不可欠となる。しかし、4Kでの疲労試験は容易ではなく、データも限られているのが現状であり、核融合炉用超伝導コイルの合理的設計・製作を図るためには、極低温疲労特性の推定方法を構築することが重要である。 そこで、4K引張特性から4K疲労特性を推定する方法、さらには、室温の引張特性から4K疲労特性を推定する方法を構築することを目的とし、原研では窒素強化オ−ステナイト系ステンレス鋼の疲労試験を実施している。その第一歩として、筆者らは、原研と(株)日本製鋼所が共同開発したJJ1鋼(0.03C-12Cr-12Ni-10Mn-5Mo-0.2N)の室温疲労特性を評価し、JJ1鋼においても室温ではユニバーサル・スロープ法によって引張特性から疲労特性を評価できることを示した。また、同法により4Kの疲労特性を推定し、片振り引張疲労試験データとの比較から、その適用が可能であることを示唆した。 今回、JJ1鋼の母材及び溶接部w?の4K両振り引張疲労試験を行い、実測データとユニバーサル・スロープ法による推定値を比較することで、同法による4K疲労特性推定の可能性を評価した。この結果、母材では、高サイクル側で誤差が大きくなるが全体として安全側の予測となり、十分適用可能であること、一方、溶接部では、低サイクル側で誤差が大きく、危険側の予測となり、溶接部への適用には考慮が必要であることを明らかとした。