固有接合スタックへの高周波照射によるボルテクスの集団的運動の解析
Numerical analysis of collective motion of Josephson vortices in electromagnetic wave irradiated intrinsic junction stacks


A東北大通研,B弘前大理工
°山田 靖幸A,中島 健介B,山下 努B,中島 康治A
E-mail : yyamada*riec.tohoku.ac.jp
Keyword(s) : 磁束フロー,Bi-2212,高周波応答,数値解析,,

Bi-2212固有ジョセフソン接合を用いた磁束フローは、応用上興味深い。我々は、発振の実現に向けて、磁束フロー状態の接合の高周波応答から接合内の電磁モードと運動するボルテクスの相互作用の研究を行っている。I-V特性に現れる高周波応答は、外部磁界の方向に対して複雑に変化する。外部磁界の向きが接合面に平行なときには位相ロック現象が起こることに伴う明瞭なゼロクロスステップが観測された。今回、結合sine-Gordon方程式を用いた数値解析により、接合のプラズマ周波数とボルテクスの密度や位相ロック状態がI-V特性のゼロクロス状態に及ぼす影響について明らかにしていく。また、外部磁界の向きが接合面から僅かに変化したときにはシャピロステップ的な応答を示すことを見出した。これは、接合面に導入されたパンケーキボルテクスがジョセフソンボルテクスをピンニングし、磁束フローの状態が変化したためと考えられる。固有ジョセフソン接合の電磁気的特性をよく記述する結合sine-Gordon方程式はピンニングや超伝導電極(CuO2面)の表面抵抗による散逸を考慮していない。我々は、これらの影響を考慮しw?た数値シミュレーションを行い、固有接合における磁束フロー現象をより正確に再現できる数値モデルを提案する。今回は、シャピロステップ的応答をこの数値モデルによって再現し、そのような応答が得られる物理的な背景を明らかにしていく。