高抵抗率の金銀合金層を分流保護層とする超電導薄膜限流素子 (1) −THEVA社製 YBCO 薄膜(共蒸着法) 使用例
Superconducting thin-film fault-current limiting elements using high - resistivity AuAg alloy shunt layers (1) - An example using YBCO films by thermal co-evaporation (THEVA)


産総研
°山崎裕文, 古瀬充穂, 中川愛彦
E-mail : h.yamasaki*aist.go.jp
Keyword(s) : 限流器,薄膜限流素子,YBCO 薄膜,合金層,分流保護層,コスト

高温超電導薄膜を用いる薄膜限流素子において、ホットスポット現象(限流初期の、特性の不均質に起因する素子の焼損)を防ぐために、金などの金属を超電導層の上に蒸着して分流保護層とする方法が一般的である。しかし、金属層の付加は限流素子の抵抗を大きく低下させてしまい、事故時に要求される耐電圧を得るために大量の大面積薄膜を必要としてコスト高になる。共蒸着法による THEVA 社製高均質 YBCO 薄膜(Jc のばらつき < ±2%)の上に、純金よりも一桁近く抵抗率の高い金銀合金を蒸着して常電導転移時の分流保護層とし、また、さらに、安価な外付け分流抵抗を並列接続することによって、ホットスポット現象を防ぐことが出来た。分流層の付加による超電導線路の抵抗低減を抑制したため、限流時(定電圧)の発熱量の増大が抑制され、金を分流保護層とした従来素子と比較して4倍以上の限流容量密度を達成した。必要とされる超電導薄膜の面積を4分の1以下に低減でき、限流器のコストを大きく低減できる。