第3高調波電圧を用いる誘導法による Bi-2223 厚膜試料の臨界電流密度の非破壊測定

Nondestructive, inductive measurement of critical current densities of Bi-2223 thick films using third harmonic voltages


@山崎裕文, 馬渡康徳, 中川愛彦

産総研


大面積超電導膜における臨界電流密度 Jc を非破壊的に測定する方法として、膜の直上に小コイルを置いて交流磁界を印加し、それによって誘導される電圧の第3高調波成分 V3 を測定する方法が用いられている。我々は、この薄膜 Jc 測定法において、Full Penetration で磁束が薄膜の裏面に抜ける時に V3 が大きく発生する事を理論的に示し、測定原理を明確にした。また、超電導体への磁束侵入に伴って発生する第3高調波誘導電圧を測定する事で、バルク試料の表面付近の Jc を測定できることを理論的に示し、溶融法で作製した YBCO, SmBCO 試料で Jc が正しく測定できる事を報告した(2003年度春季低温工学・超電導学会)。今回、Jc ~ 7,000 A/cm^2、膜厚 ~0.4 mm の Bi-2223 厚膜について測定したところ、バルク Jc 測定法で表面付近の Jc が測定できるだけでなく、薄膜 Jc 測定法と同じ原理で膜厚全体の平均の Jc も測定できる事がわかった。さらに、周波数依存性を測定する事で、電流電圧特性も評価できた。