スーパーインシュレーションのγ線による耐放射線性試験

Gamma ray irradiation test of super insulator


@勅使河原誠A,草野譲一A,森下憲雄A,加藤崇A,池田裕二郎A,細山謙二B,原和文B,小島裕二B,荻津透B,中本建志B,野崎満C,小林史彦D,加藤周E

日本原子力研究所


日本原子力研究所(以下原研)と高エネルギー加速器研究機構は共同で大強度陽子加速器計画(J-PARC)を進めている。その中に核破砕中性子を利用した物質・生命科学施設と呼ぶ核破砕中性子源施設がある。ターゲットで核破砕によって発生したエネルギーの高い中性子を極低温の水素 (温度:20K、圧力:15気圧)で減速し、中性子ビームとして供給するものである。スーパーインシュレーション(SI)は極低温水素輸送ラインに用い熱負荷の軽減に重要な役割を果たす。しかしながら、耐放射線性の観点から、従来のSIが放射線量としてどこまで使えるのかが問題であった。そこで、原研高崎研のγ線施設を用いてSIに関する耐放射線性に関する試験を行った。本講演では、その試験結果について報告する。試験体としてPI(ポリイミド)及びPET(ポリエステル)系のフィルムに500Åのアルミを両面蒸着させたSIを用いた。照射後の試験として、機械特性試験(引っ張り試験、引き裂き試験)、 輻射試験及びガス分析試験を行った。PETベースのSIは10MGyで脆化し、使用不可能になる? 、PIベースのSIは約 60MGyの線量でも全く問題ないことが分かった。一方、ガスの分析手法としてガスクロマトグラフィー(以下ガスクロと呼ぶ)による手法が一般的であるが、今回新しく、Q-massによる手法を導入することによって、ガスクロでは困難であったガス種(例えば水)が容易に判別できるようになった。