Mg2Cu粉末を用いて作製したMgB2線材の臨界電流密度

Critical Current Density of MgB2 Wires Made by Using Mg2Cu Powders


@菊池章弘, 飯嶋安男, 吉田勇二, 二森茂樹, 松本明善, 伴野信哉, 竹内孝夫, 井上廉, 熊倉浩明

物材機構


in-situでMgB2を合成する際、均一なMgとBの混合体を得るには原料粉末はできる限り細かい方が好ましい。しかし、微粉化は原料の酸化を激しくし、さらに、延性を有する純Mgの機械的粉砕は容易ではない。我々は、純Mgを既にCuと化合したMg2Cuに置き換えてMgB2の合成を試みている。Mg2Cuの融点は568℃であり、純Mgよりも100℃程度低い。熱処理温度がMg2Cuの融点以上になると、生成するMgB2のTcは急激に向上し約37.5Kを示した。一般的な純Mgを原料に用いた場合と比較して、低温熱処理で明らかに高いTcを示し、拡散反応が液相(Mg2Cu)の介在により促進されることを示唆している。今回は、この本新製法により作製したMgB2線材の臨界電流密度について報告する。