MgB2バルクにおける磁束ピンニングと元素置換効果

Effects of Substitution on the Pinning Properties of MgB2 Bulks


@山本 明保、上田 真也、桂 ゆかり、堀井 滋、下山 淳一、岸尾 光二

東大院工


我々は化学的反応性や平衡蒸気圧が高いMg量の制御を行うため、金属シース中で原料粉末を反応させるPowder in Tube法を採用して、再現性に優れ低磁場において高いJcを持つMgB2バルクの作製に成功している。MgB2は、20 K近傍での実用化に向けて積極的に研究が進められており、20 Kにおいても高いJc (〜105 A/cm2)を持つが、コヒーレンス長が約6.5 nm (0 K)と長いためにHc2が低く、3〜4 Tの磁場中においてJcが急激に低下するという問題点を持つ。これに対して、高磁場におけるJcの改善が様々な方法で試みられており、なかでも不純物添加がピンニング特性の向上に有効であることが明らかになってきている。本研究では、MgB2のピンニング特性の理解と改善を目指し、元素置換がピンニング特性に及ぼす影響を、Powder in Tube法により作製した試料について系統的に調べた。