核破砕中性子源用極低温水素循環システム基本設計
Preliminary design of the cryogenic hydrogen circulation system for spallation neutron source
@加藤 崇,麻生智一,達本衡輝,牛島 勇,高橋才雄,大都起一,日野竜太郎,池田 裕二郎,渡辺 昇
原研
日本原子力研究所(以下原研)は高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で大強度陽子加速器計画(J-PARC)を進めている。その一環として陽子加速器による核破砕反応を利用し、中性子強度が従来の2桁高い中性子を発生させるという核破砕中性子源を用いた物質・生命科学研究施設を建設している。核破砕中性子源用極低温水素循環システムは、核破砕反応で発生した高エネルギー中性子を極低温水素(例えば、温度:20K、圧力:1.5MPa)中に通過させることにより、そのエネルギーを低減し、冷中性子ビームとして試験体へ供給するものである。従来の強度の弱い中性子源では、適量の液体水素を保持する冷凍システムであったが、本件では、中性子による水素への熱負荷が約4kWに達し、この負荷を合計4リッター以下の容積と温度差3K以内という条件で除去する必要がある。そこで、極低温(超臨界又は液体)水素の強制循環で冷却する方式が必要となった。さらに、加速器からの陽子ビームのオン、オフによるパルス的負荷変動が冷凍システムに与えられる。従って、この変動を吸収できる機構が冷凍システムに必要とされる。このような従来にない要求性能、冷媒循環を持った核破砕中性子源用極低温水素循環システムについて、その基本設計が固まった。基本設計として、全体レイアウト、プロセス設計計算、機器仕様、そして、安全対策を行った。これらの本システムの基本設計結果について紹介する。