TFA-MOD法により作製したYBCO/IBAD線材の臨界電流特性

Critical current properties of a YBCO/IBAD tape made by TFA-MOD process


@大田 崇文A,今村 賢司A,澤 裕隆A,津田 悠樹A,井上 昌睦A,木須 隆暢A,竹尾 正勝A,徳永 義孝B,塩原 融B

九州大学大学院システム情報科学研究院A,超電導工学研究所B


YBCO膜を作製する方法としてTFA-MOD法がある。この方法は基板に原料溶液を塗布し熱処理を加える簡便な製造手法であるため、低コスト化が期待できるうえ、比較的配向性のよい膜が得られることから、現在注目を浴びている成膜法である。本研究では、IBAD基板上にTFA-MOD法により成膜したYBCO膜の電流輸送特性を詳細に測定するとともに、パーコレーションモデルに基づくピンニング特性の解析を行った。今回実験では、TFA-MOD法により作製したYBCO膜を幅48[um]、長さ0.36[mm]のブリッジ形状に加工し、電流−電圧特性測定用の試料とした。測定は温度50[K]〜85[K]、磁界0[T]〜12[T]を系統的に変化させ行った。得られた実験結果より、温度77.3[K]自己磁界におけるJcの外挿値は2[MA/cm2]であり、これは1[cm]幅の線材でIc換算すると約260[A]に相当する。またパーコレーションモデルに基づき、巨視的ピン力密度のスケーリング特性や転移磁界の温度依存性等の解析を行ったところ、従来のPLD/IBAD線材などと同様に幅広い温度、磁界範囲においてJc値を定式化できることが分かった。詳細については当日報告する。 謝辞:本研究は超電導応用基盤技術研究開発の一環として、(財)国際超電導産業技術研究センター(ISTEC)を通じて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受けて実施すると共に、文部科学省の科研費(15360151)の助成を得て行ったものである。