DC Experiment of Solenoid Using Bi2223/Ag Tape with Ferromagnetic Disks
産総研
@近藤 潤次, 古瀬 充穂, 梅田 政一
本発表は,高温超電導ソレノイドの性能が強磁性体の配置により向上することを実験により明らかにしたものである。Bi2223/Agテープ線材は,工業的に長尺のものが作られるようになっており,その電力機器への応用が盛んに研究されている。液体窒素温度で使用できれば,運転費や保守の点で非常に有利である。しかしこの温度では特に,テープ面に垂直に外部磁界が印加されると臨界電流が大幅に低下するという異方性を有する。テープ線材を用いてソレノイドを巻いた場合,その端部の線材にはこの向きの磁界が印加されるので,この特性は大きな問題となる。我々は以前より,強磁性体のディスクをソレノイド両端に配置することで,この向きの磁界を低減することを提案してきた。そして,空心ソレノイドに強磁性体のディスクを配置することで,臨界電流を5割増,中心磁界を2倍,蓄積エネルギーを3倍にできることを,数値計算により示した。今回,Bi2223/Agテープ線材を用いて10個のダブルパンケーキからなるソレノイドを作り,液体窒素温度において,直流運転での磁性体の有無による特性の変化を調べた。その結果,端部のパンケーキの臨界電流が4割増加した。また,ホール素子により端部の磁界成分を測定したところ,ほぼ計算通りに,テープ面に垂直な磁界成分を低減できていることが明らかになった。