In添加MgB2線材における組織と特性

Structure and superconducting properties in MgB2 tapes with In addition


東海大工, 物・材機構A
@山田 豊, 榎本 雅一, 青代信, 近井 精徳, 太刀川 恭治, 松本 明善A


  PIT法で作製したNiシースMgB2線材の超電導特性、特に臨界電流特性に及ぼすInおよびSn等の低融点金属粉末の添加効果と組織について報告する。市販のMgB2粉末をNi管に充填し、溝ロール・平ロール圧延を経て、厚さ0.3mm, 巾約5mmのテープ線材を作製した。その際10Vol.%のIn, Sn等の低融点金属粉末を添加した。また、Ar-5%H2雰囲気中で熱処理を行った。金属粉末を添加したこれらの線材の臨界電流Icは無添加の線材に比べ大巾に向上し、4.2K, 0.5TにおけるIcはas rolled線材で約4倍、圧延加工途上で200℃×10hの中間熱処理を行うと約6倍以上の500Aを超える高い値が得られた。これは、約100,000 A/cm2の臨界電流密度に相当する。また、Sn添加においても2〜3倍のIcの向上が認められた。このようなIc値の向上は、MgB2コア部に添加された低融点金属粉末がMgB2結晶粒間のギャップを埋め、粒間の結合を改善したためと考えられる。