ボロン添加したJK2鋼の極低温機械特性

Mechanical Properties of JK2 Containing Boron at Liquid Helium Temperature


日本原子力研究所A,神戸製鋼所B
@濱田 一弥A, 中嶋 秀夫A, 奥野 清A, 藤綱 宣之B


  国際熱核融合実験炉(ITER)の中心コイル(CS)の導体のジャケット材料として、Nb3Sn超伝導導体への熱歪みが極力小さくなるように、通常のステンレス鋼よりも熱収縮率が小さく、強度も高いJK2を使用することを考えている。 JK2を使用するためには、Nb3Snを生成するための熱処理(650℃、250時間)による靱性劣化を改善することが必要である。そこで、靱性劣化の原因となる熱処理中の粒界への炭化物等の析出物を低減するために、JK2にボロンを添加したサンプルを製作し機械試験として、引張試験、破壊靱性試験を行った。その結果、液体ヘリウム中での引張試験における伸びは、ボロンを添加する事により改善され、目標としている25%を満足した。また、ヘリウム温度における破壊靱性試験によって、ボロン添加によりJK2の破壊靱性値(KIC)が改善されることが明らかとなった。この結果からボロン添加したJK2がCSのジャケット材料に適用できる可能性が高まった。