テープ線材幅広面に垂直な磁界に因る特性劣化の少ない高温超伝導コイルの開発(4)−臨界電流向上効果の実証試験−

Development of HTS Coils with Reduced Degradation of Properties Due to Flat-on Oriented Magnetic Fields Applied to the Wound Tape(IV) -The test on improvement of critical currents-


鹿児島大・工,九州電力(株)A
@堀場 達也, 若松 秀宗, 川越 明史, 住吉 文夫, 林 秀美A


  高温超伝導コイルは、冷却の経済性やハンドリングの容易さなどから電力機器への応用が期待されている。しかし,テープ線材の幅広面に垂直に加わる横磁界のため、コイルの臨界電流が劣化する。前回までの報告では、コイル巻線としてのテープ線材に垂直磁界が加わらない新しいコイル製造法を提案し、導体長5mの単層試作コイルで臨界電流の向上を実証した。今回、多層コイルで本製造法の効果を実証するために、実証試験コイルを製作した。このコイルは、中央に磁界発生のための銅コイル、その両端の一方に新しい製造法による新型コイル、もう一方に従来型のコイルが配置されている。超伝導コイルの巻き線導体は、自己磁界下での臨界電流が75AのBi-2223多芯テープ線材を2本用いた並列導体で、コイルは新型,従来型それぞれ内径214mm、外径300mm長さ60mmの4層32ターンとした。理論的な検討結果からコイルの臨界電流は、新型、従来型はそれぞれ42.9A、30.9Aとなり、39%の向上効果が期待できる。実証試験は、銅コイルに20Aの直流通電を行った状態で超伝導コイルの臨界電流測定を液体窒素中で行った。測定結果は当日報告する。