ボロン添加したJK2溶接材の4K機械特性

Mechanical property of welded JK2 contaning Boron


日本原子力研究所
濱田一弥,中嶋秀夫,高野克敏,奥野清


  原研では、核融合実験炉で使用されるCSコイル用超伝導導体のジャケット材料として、Nb3Sn等の超伝導生成熱処理(650℃ x 240時間)を加えても靱性が劣化しないステンレス鋼の開発を進めている。原研と神戸製鋼がTFコイル用に開発したJK2鋼は室温から4Kまでの熱収縮率が通常のステンレス鋼に比べて小さく、本鋼をジャケット材料に用いれば、予冷中にCSコイルに圧縮力を加えることができるという利点がある。そこで、原研は、JK2の熱処理後の靱性劣化を抑制するために、ボロンを添加することに着目して研究を進めている。 これまでの研究では、ボロンを添加することにより、熱処理後の伸び及び破壊靱性が改善されることを母材で確認した。今回は、新たに本材料の溶接に適するよう、新しいボロン添加溶接材を開発して、超伝導生成熱処理後、溶接部の4Kにおける機械試験を行った。その結果、破壊靱性値は従来の約2倍に改善されるとともに、ITERにも適用可能なレベルを満たした。 以上の結果、ボロン添加したJK2のジャケット材料への適用可能性が実証された。