飛翔体による宇宙観測用超伝導マグネットの開発(7) クエンチ特性

Development of a superconducting magnet for scientific observation in space (7) - Quench characteristics


高エネ研A,東京理大B,東芝C
@槙田康博A,大宮英紀B,川井正徳A,田中賢一 A,山岡広A,山本明A,水牧祥一C,前藤友彰C


  飛翔体(気球)による宇宙線観測用超伝導薄肉ソレノイドの開発を進めている。より粒子透過性を高めるため、高強度アルミ安定化線を開発し、これを用いて限界までコイルの物質量を減らしたコイルを設計した。このためコイル質量に対するエネルギー密度は非常に高くなり、クエンチ時の環境はより厳しくなる。クエンチ保護は、純アルミストリップを用いた高速伝播法を導入している。モデルコイルを用いた冷却励磁試験を行い、実験的にクエンチ特性を調べた。純アルミストリップ以外の動的なクエンチ保護(保護抵抗、クエンチ保護ヒーター)を導入していないモデルコイルのクエンチ特性は、理想的なコイルによる均一エネルギー消費を達成したものではなかったが、ピーク温度・発生電圧とも許容できるものであった。実機もモデルと同じコイル設計で製作を進めている。