テープ線材幅広面に垂直な磁界に因る特性劣化の少ない高温超伝導コイルの原理実証試験

The Test of HTS Coils with Reduced Degradation of Properties Due to Flat-on Oriented Magnetic Fields Applied to the Wound Tape


鹿児島大・工,九州電力(株)A
@若松秀宗,川越明史,住吉文夫,林秀美A,岡元洋A


  高温超伝導コイルは、冷却の経済性やハンドリングの容易さなどから電力機器への応用が期待されている。しかしながら、コイル巻き線としてのテープ線材の幅広面に垂直に横磁界が加わると、コイルの通電電流特性が劣化し、また大きなヒステリシス損失も発生するため、実用化の妨げになっている。そこで我々は、高温超伝導コイルの通電特性が向上し、ヒステリシス損失を低減するために、コイル巻線としてのテープ線材に垂直な横磁界が加わらない新しいコイル製造法を提案し、その特性について理論的な検討を行い、本製造法によってコイルの臨界電流を向上し、損失を約1桁低減できることを示している。今回は、本製造法による通電特性向上と損失低減効果を実証するために、実証試験コイルを製作した。このコイルは、中央に磁界発生のための銅コイル、その両端の一方に新しい製造法による新型コイル、もう一方に従来型コイルが配置されている。実証試験の運転条件を、銅コイル24A0-p、10Hz、超伝導コイル20A0-p、10Hzの交流通電として超伝導コイルの通電、損失特性を理論的に検討した結果、新型コイル、従来型コイルの臨界電流は35.2A、28.2Aで臨界電流向上効果は24%、交流損失はそれぞれ0.26W、0.90Wで損失低減効果は約70%となった。実証試験コイルの損失は、それぞれの超伝導コイルを蒸発法を用いて別々に測定した。測定結果は当日報告する。