Analysis of thermal stability in Bi-2223 double pancake coil (2)
九州大学大学院システム情報科学院
@宇都宮大介,三宅徹,西村昭一,木須隆暢,竹尾正勝
高温超伝導コイルは、そのなだらかな電流−電圧特性と、高温動作による比熱や熱容量の増大により、金属系超伝導体に比べて局所的擾乱に対する安定性が格段に優れている。しかしながら、通電に伴う非線形な発熱に起因する、熱的不安定性が通電限界電流を決定する大きな要因となる。すなわち、素線の通電特性と冷却とを考慮した熱設計が、機器の特性を大きく左右する。機器の運転状況は静的条件のみならず、過渡特性も重要となることから、温度、磁界、磁界印加角によって複雑に変化する通電損失を考慮した評価が求められる。我々はこれまでの研究により、高温超伝導線材の通電特性を、温度、磁界、磁界印加角の関数として解析的に記述する方法を提出しており、Bi-2223短尺線材を用いた実験より、その定量性について検証している。本研究では、短尺線材と同じ線材を素線として用い、小型のダブルパンケーキコイルを作成し、自己磁界下および3Tまでの外部磁界下における熱的安定性を実験的に調べた。また、2次元回転対称モデルによる非定常熱解析の結果との比較を行った。数値解析において、我々の導出した解析式を用いて巻線部分での通電損失の評価を行った。通電限界電流や、熱暴走のダイナミクス特性は、解析と実験で広い温度、磁界範囲定量的によく一致している。すなわち、短尺線材の特性より、巻線レベルでのパフォーマンスを定量的に予測することが可能である。