パルス管冷凍機を用いた固有ジョセフソン接合磁束フロー発振システム

Flux-Fluw oscillation system using intrinsic Josephson junction with a pulse tube cryo-cooler


東北大通研1、東北大未来セ、科技団・戦略研3

@中尾光明1、王華兵1,3、陳健1,3、中島健介1,3,山下努2,3


  我々は、高温超伝導体を用いた高周波応用として、Bi2Sr2CaCu2Oxを用いた磁束フロー発振器の開発を目指している。細長い固有ジョセフソン接合のスタックをBi2Sr2CaCu2Ox上に作製し、接合のa-b面に平行に磁場を印加したときの電流−電圧(I-V)特性から、これまでに磁場1[T]のとき1.15×106[m/s]と非常に高速な磁束フロー速度vFFが得られている。また、温度40[K]においても高速な磁束フロー状態を観測した。このような結果をもとに現在、永久磁石による磁場と、一段のパルス管冷凍器とを組み合わせた磁束フロー発振システムの実現を目指した研究を進めている。  BSCCO固有ジョセフソン接合スタックに磁場を印加するためには、Magnetic Solutiions製の磁場可変永久磁石MM−1000を用いた。この装置は50mmのボア径を有し、半径方向に0〜1[T]の磁場を方向を変えて発生させることができる。ボア径に合わせて横向きに設置した円筒形の真空容器の先端には、固有ジョセフソン接合から放射される電磁波を透過させるためのマイラ−フィルムウィンドウが設けてある。  冷却器にて、最低到達温度がおよそ41[K]のアイシン精機製パルス管冷凍器を用いている。コールドヘッドは外径46[mm]の円筒形真空容器内にある。現在までのところコールドヘッド先端の到達温度は44[K]で、発振デバイス部分の温度はこれより若干高温になっているが、磁束フロー特性は十分に測定できる状況にある。デバイス実装時の熱侵入、冷却特性、磁束フロー特性は当日報告する。