高放射線環境下で動作可能な超伝導磁石の開発

Development of a superconducting magnet used in a high-level radiation


九州大学A,高エネルギー加速器研究機構B,大阪大学C

@大西宏行A,石橋健二A,山本明B,久野良孝C,吉村浩司B,横井武一朗B,中本建志B


  現在、高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究所が協力して大強度陽子加速器(JHF)計画が推進されている。その将来の実験計画として、JHFで作られる50GeV陽子ビームを用いて大強度且つ高輝度のミューオンビームを生成し、レプトンフレーバー非保存反応を探索することを主な目的としたPRISM計画が提案されている。PRISM計画では、陽子ビームをターゲットに当て、発生したパイ中間子をソレノイド磁場で捕獲し、パイ中間子の崩壊によって得られるミューオンをビームとして取り出す。  大強度のミューオンビームを得るためには多くのパイ中間子を捕獲する必要があり、6〜12Tの高磁場が必要とされる。そのため、超伝導ソレノイドの使用が検討されているが、コイルとターゲットの間に遮蔽体を置かなかった場合、コイルにはターゲットで発生した中性子などの放射線により100kW以上の入熱があると見込まれている。このため、超伝導ソレノイドの設計に当たっては、シミュレーションコードを用いて放射線による入熱量の評価を行い、遮蔽体等を設けることでコイルへの入熱を抑える必要がある。また、実際に実験を行い、シミュレーションコードの妥当性を検証することが不可欠である。  本講演では、R&D磁石の設計、開発の現状と、ヒーターによる入熱試験結果について報告する。