TFA-MOD法による高Jc-YBCOテープの開発

High Jc YBCO tape by metalorganic deposition method using trifluoroacetates


超電導工学研究所、株式会社フジクラA

@荒木猛司、黒崎晴彦、湯浅豊隆、丹羽、室賀岳海、飯島康裕A、山田穣、斎藤隆A、平林泉


  トリフルオロ酢酸を用いる金属有機物堆積法(TFA-MOD法)はこのわずか2年で急成長した手法であるが、線材応用には高い特性を連続プロセスで、しかも金属上に実現する必要がある。高Jcに関してはSIG(Solvent-Into-Gel)法により得られる高純度溶液が不可欠で、最近では残留水分量が非SIG法の約1/15の0.24%にまで低減している。この高純度溶液から得られるYBCO膜はCeO2/YSZ上に2100-2300Aの膜厚でJcは再現性良く7.9-8.1MA/cm(77K,0T)が得られている(4端子法で測定)。金属上の高Jc化は熱処理時の化学反応量を一定にすることにより最適条件が分かり、BaCeO3層の生成を防止しかつ高い特性が得られる750℃が望ましいことがわかった。金属上10cmの最初の成膜には純度のやや劣る溶液を用いたが、2000Aの膜厚で1.3MA/cm2(77K,0T)のJcが得られ、線材化への可能性が再確認された。