BaF2を含む前駆体膜の減圧酸素中熱処理によるYBCO膜の作製 −透過電子顕微像の観察−

Preparation of YBCO films by post-annealing od precursor films including BaF2 at low pressure of oxygen atmosphere -TEM observation-


電中研A,物質・材料研究機構B,東海大学C

@一瀬 中A,菊池章弘B,太刀川恭治C,秋田 調A,井上 廉B


  Y、BaF2、Cuを原料に用いてYBCO膜の前駆体膜を室温で作製した。結晶化のための熱処理は減圧酸素中で行い、純酸素のみを導入し、水蒸気等は導入しない。この作製方法は減圧中の熱処理のため、高速反射電子線回折像の観察が可能である。したがって、試料の昇温から高温で保持している間、試料表面からの反射電子線回折像を観察した。反射電子線回折像の観察およびX線回折測定により、YBCO膜の形成はアニール温度に達する以前の昇温過程から起きていることがわかった。そこで、アニール温度に達する前の試料を急冷し、透過型電子顕微鏡(TEM)で微細構造を観察した。アニール温度より70℃低い630℃から急冷した試料の断面TEM像で、基板界面からエピタキシャル成長しているYBCO層が観察された。他に、TEM像の観察によって得られた結果を報告する。