鉄道車両用高温超電導変圧器の巻線モデル試作、試験(1) −密巻コイルの試作−


鉄道総研,富士電機総合研究所A,富士電機B,九州大学C
@上條弘貴,秦広,藤本浩之,坊野敬昭A,榊喜善B,岩熊成卓C,船木和夫C


  我々は、鉄道車両用主変圧器の超電導化の可能性について検討を進めており、基本特性の検討や概念設計を進める上では、高温超電導コイルの臨界電流密度、交流損失、過電流通電などの各種特性の把握が必要である。特に、鉄道車両用超電導変圧器の第一の目的が軽量化であるため、巻線を出来るだけ密に巻かなければならず、高温超電導コイルの高磁界中での特性の把握が重要である。しかし、Bi系高温超電導線は高磁界中で臨界電流密度の低下が大きいため、これまでに製作された交流用高温超電導コイルでは巻線の間隔を開けて超電導線に印加する磁界を抑えた構造のコイルが多く、巻線を密に巻いて高磁界が印加されるような交流高温超電導コイルの特性は充分に把握されていない。そこで、鉄道車両用高温超電導変圧器の巻線への使用を念頭にした交流高温超電導コイルを試作し、臨界電流密度、交流損失、過電流通電などの各種特性を試験し、基礎データを収集する計画である。本報告では、その概要と現在製作、試験中の密巻の交流高温超電導コイルについて紹介する。