低温用実用熱拡散率測定装置の開発 (3)


計量研
@加藤英幸,友田和美,岡路正博


  低温工学分野で用いられる実用材料の熱輸送特性の評価にはこれまでもっぱら定常熱流法による熱伝導率測定が用いられてきた。この方法は、静的な(時間不変な)熱流量を知るためには充分な直接的絶対法であるが、動的な(時間変動例えば振動する)熱流量/温度変化を評価する目的には必ずしも適当ではない。即ち冷凍機などの振動熱流下での熱応答を知るためにはむしろ部材の熱拡散率が直接的な評価対象量となる。低温下の固体材料では、比熱容量(C)と熱伝導率(κ)、熱拡散率(D)の3量は互いに独立ではなく、κ=C・D(但しこの場合のCは単位体積当たり)の関係で結ばれる。このため3量の内の2量のみを知ることでその熱特性を完全に把握することができるが、Cとκか、CとDの組み合わせが適当である。よって、DとCの測定を行いκを導出することは妥当である。熱伝導率に代えて熱拡散率の測定を行うことの利点は、以下の3点に集約される。(1)微小試料片で測定が可能であり、(2)測定時間を短縮でき、(3)異方性の評価が容易になる。これらの利点を生かせるような低温用の実用熱拡散率測定装置の開発に取り組んできたが、データ収集ソフトウェアまでも含めたシステム全体がほぼ完成したので、2〜3の測定例とともにその概要を紹介する。