高性能トランスファーラインの開発


高エネ研,日立製作所A
@小島裕二,原和文,仲井浩孝,森田欣之,可部農志, 細山謙二,兼清貴之 A,藤田常夫A


  高エネルギー加速器研究機構では電子-陽電子衝突リングKEKBが完成し、本格的な物理実験が行われている。現在、大電流の電子ビームの加速に超伝導加速空洞が利用され、そのための8kWの冷凍能力を持つ大型のヘリウム冷凍システムが運転されている。現在、加速リングの性能向上の為に、衝突点の近くに超伝導CRAB空洞を設置することを計画している。既設の大型ヘリウム冷凍システムから約1km離れた場所に設置する、冷凍負荷約1kWのCRAB空洞の冷凍にSatellite方式を採用することとした。このSatelliteシステムは大型のヘリウム冷凍機から供給される液化ヘリウムの気化潜熱と顕熱を利用してCRAB空洞に必要な冷却能力を発生させるもので、ヘリウムガスは常温のガスで大型のヘリウム冷凍機へ戻される。このSatellite冷凍システムに必要な液化ヘリウム、及び液化窒素を大型ヘリウム冷凍システムから供給する高性能のトランスファーラインの開発が急務である。そこで今までに2経路用(液化ヘリウム1+液化窒素1)と4経路用(液化ヘリウム2+液化窒素2)のマルチ経路トランスファーラインを試作し、加速空洞用トランスファーラインに使用され良好な性能及び実績を得た。従って同タイプの長距離用トランスファーラインがSatelliteシステムに採用されることとなった。