酸化物磁性体の蓄冷材への応用


金材技研強磁場
@沼澤健則,荒井修,佐藤明男,和田仁


  4K以下の冷凍特性を改善するため、この領域で大きな熱容量を有する磁性蓄冷材料について検討した。一般に、従来使用されている希土類金属間化合物磁性蓄冷材料は磁性相互作用が大きいため、4K以下に磁気転移温度を有する物質がほとんど見いだされていない。我々は、酸化物磁性体のもつ比較的弱い磁性相互作用に着目し、4K以下で大きな比熱をもつ可能性のある物質を探索し、比熱測定を行った。その結果、実用磁性蓄冷材として4K以下で最大の体積比熱を有するHoCu2に比べ、数倍大きな体積比熱を示す酸化物を見いだした。これを数百ミクロンの顆粒形状に作製し、パルスチューブ冷凍機を用いて実証試験を行ったところ、4K以下で顕著な冷凍能力の向上が認められた。