金材技研A,科技団B,日立電線C
@竹内孝夫A,B,田川浩平A,B,C,伴野信哉A,B,松本文明A,和田 仁A,B
急熱急冷して延性に富むNb(Al) ss過飽和固溶体をいったん生成させ,クラッド加工でCu安定化材を付与したのちA15型化合物に変態させるRHQT法 Nb3Al線材を開発している。その超伝導特性は,RHQ条件や変態処理条件によって制御された微視的組織に依存する。今回は,X線回折によりその微視的組織を詳細に調べた。 Nbにランダムに固溶していたAlは,A15型化合物に変態する前駆現象として,bccの状態で先ず規則化する。また,Bcc相 (110)面の極点図形は,A15相 (100)面のそれと,きわめて良く一致することが変態の初期段階で確認された。ただし,変態の後期段階になるとA15相の優先方位は変化し,配向性が緩やかになる。変態の初期に観察されるJcの磁界方位異方性は,旧bcc粒の配向性と関連すると考えられる。変態後期には旧bcc粒内で変態したA15結晶粒間のmisorientationが大きくなる。その結果Jcが大きくなり,また,異方性も消失すると推察される。通常より到達温度が低い条件でRHQ処理すると,同じ冷却速度でもA15相が直接生成する。これらは若干のフレキシビリティを有する。800℃で規則化させると,Bc2 (4.2K)(中点)は29Tを越え,Jc(化合物)は24Tで120A/mm2を越える。