九州大学
@西村元章,柁川一弘,岩熊成卓,船木和夫
酸化物超電導線材として代表的なテープ線材には、典型的には磁界がテープの幅広面に対して平行に印加される場合と垂直に印加される場合がある。平行磁界中での交流損失については比較的多くの実験データが得られ、議論されているが、垂直磁界中での交流損失は実験装置の制約上実験的評価が難しい。そこで我々は垂直磁界中での交流損失を測定するための、新しい装置を提案し、設計、製作した。この装置では、コイル状に巻かれた長尺の試料について測定することができる。また簡易測定法を用いることにより電流通電時の自己磁界損失や同時掃引時の交流損失の測定も可能と考えられる。前回の発表では、テープ線材に垂直な、外部交流横磁界のみを印加した時の交流損失の測定をピックアップコイル法を用いて行った。この測定結果を理論的に計算した幾何学的誤差関数により補正し、従来から使用している鞍型ピックアップコイルを用いた装置による測定結果と比較した。両者がほぼ一致したことにより、我々が新しく製作した装置は、垂直磁界中での交流損失を精度良く測定できることが分かった。今回の発表では、この装置を用いて第1種超電導体の磁化曲線の傾きから、幾何学的誤差係数を求め、理論的に計算した幾何学的誤差関数との比較を行う。