交流大電流通電時におけるBi2223/Ag超電導テープ線材の抵抗発生特性


名古屋大学
@早川 直樹,岩花史和,大久保仁


  本研究では,電流リード用Bi2223/Ag超電導テープ線材に直流臨界電流値以上の60Hz交流大電流を通電し,常電導転移特性について実験的に検証した.その結果,以下の知見を得た.(1) 供試超電導テープ線材に抵抗分電圧が発生する交流電流瞬時値IQ-ONは470A〜520Aであり,直流臨界電流値(334A)の1.4倍〜1.6倍に相当する.(2)IQ-ONは通電電流波高値とともに若干増加する傾向にある.(3)IQ-ON以上の交流大電流通電時においては,電流瞬時値の変化に応じて抵抗分電圧が発生しており,常電導転移と超電導復帰を繰り返している.(4)常電導転移後の発生抵抗は,室温時における抵抗の2%〜7%に過ぎない.(5) 常電導転移レベル以上の交流大電流を長期間通電しても,供試サンプルの温度上昇や常電導転移領域の拡大は見られない.