フッ化物を原料に用いたYBCO膜の作製


電中研,金材研A,東海大B
@一瀬 中,菊池章弘A,太刀川恭治B,秋田 調


  金属基板上に酸化物バッファー層を作製し、その上にY系超電導膜を作製するcoaed conductorsは、77Kにおける臨界電流密度が大きいこと、また、高磁場中での臨界電流密度の著しい低下が見られないことにより、電力機器および高磁界への超電導の応用が期待される。工業的には低コストの作製方法が必要で、超電導膜の作製方法の1つとしてフッ化バリウムを用いたEx-situ法が期待されている。この方法は、室温近傍で超電導体の前駆体膜を作製し、その後に電気炉で熱処理を行うことにより超電導膜を得る。しかし、熱処理の際に反応スピードを上げるため水蒸気を導入する。その結果、フッ素と水が反応してフッ化水素が生成すると考えられている。このフッ化水素の生成のため、全てのバッファー層上でEx-situ法が成功しているわけではない。現に、Yb2O3バッファー層上には、Ex-situ法で電流密度の大きい超電導膜は得られていない。したがって、フッ化水素の生成を極力抑えるため、水蒸気を導入せず、フッ化物を原料に用いて超電導膜を作製する方法を検討した。基板にはSrTiO3、とY2O3をバッファー層として作製した2種類を用いた。これらの膜の特性を報告する。