電総研
@山崎裕文, Amit Rastogi, 澤 彰仁
最近の進展が著しい YBCO 膜テープ線材の交流損失の評価のための基礎研究として、単結晶基板上に作製した YBCO 厚膜(膜厚〜1μm)の磁化を磁界と膜面のなす角度θの関数として精密に測定した。膜状試料ではアスペクト比(幅/膜厚)が大きく、形状効果によって ab 面内のシールド電流に起因する(c軸に平行な)磁化成分 Mc が、ab 面に平行な磁化成分 Mab の 1,000 倍程にも大きくなるため、平行付近で非常に大きな角度依存性が観測された。磁化曲線の囲む面積に対応するヒステリシス損失は、温度 60 K で磁界振幅ΔH = 0.1 T の時、平行から3〜5度ずれると3〜10 倍になった。通常の磁化に加えて、磁界と垂直方向の横磁化を測定し、また、c軸方向の磁界中で磁化を測定することによって、Mc を評価した。θ= 3°以上では、M (θ) はほとんど Mc に起因するが、θ= 2°以下では、Mab の寄与が大きいことが明らかになった。また、興味ある試料依存性を観測し、それが粒界弱結合に起因することを示した。