フィラメント転位型Bi-2223多芯線材の損失特性 (2)


鹿児島大・工,九州電力・総合研究所A
@渡部浩司,山下弘二郎,住吉文夫,林秀美A,入江冨士男A


  Bi-2223多芯テープ線材の通電損失(ヒステリシス損失)は一般に大きく,実用上の問題となっている.この損失を低減させるには,フィラメントを転位し輸送電流分布を一様化させることが有効である.今回我々は,プリテープとして通常の多芯テープ線材を4本用い,これらをAg芯材の周囲に内外2層螺旋状に巻きつけた1m長の丸線材を試作した.試作した線材のIcは最大で120A (77K)であった. 内外層を逆方向に巻いた線材の通電損失は,同方向巻き線材や従来の線材に比べて2/3程度まで低減できていることが明らかになった.このことは,フィラメントを転位させた2層線材では輸送電流分布が一様化され,Icの1/2以上の電流領域で通電損失が最大1/2まで低減できるという理論計算結果とほぼ一致した.