Transport properties of Y1-xPrxBa2Cu3O7-δ oriented thin films in Magnetic fields
熊大理A, 九大院理B, 姫工大工C, Chinese Academy of ScienceD
@市川 聡夫A, 宿口 善也B, 牧瀬 圭正B, 青峰 隆文B, 深見 武C, Zhao HaoD, Beiyi ZhuD, Bo XuD, Bairu ZhaoD
Y1-xPrxBa2Cu3O7-δのYの一部をPrで置換することによって臨界温度Tcは減少するので、磁場を印加することによる超伝導-絶縁体転移 (磁場誘起SI転移)が、実験室で印加可能な磁場(〜10T)によっても観測が可能になると思われる。 本研究の目的は、SI転移が起きる近傍における、薄膜の配向や配向の割合が輸送特性におよぼす影響を調べることにより、SI転移における異方性を明らかにすることである。 試料は、置換量x = 0.5のY0.5Pr0.5Ba2Cu3O7-δ 薄膜をSrTiO3基板上に直流マグネトロンスパッタ法で成膜している。基板温度を変えることによって、a-軸配向薄膜とc-軸配向薄膜を作りわけている。配向は粉末型X線回折装置を用いて確認している。測定に関しては、超伝導マグネットで磁場を薄膜に垂直に印加し、 直流四端子法を用いて電気抵抗Rを測定する。 零磁場でTc,zeroは10K〜20Kであり、超伝導転移の幅も10K〜20Kと比較的広い。c-軸配向膜は磁場の増加にともない、Tcが低温側にシフトしているようにみえる。これは、酸化物超伝導体でTcが低い試料において見られる特徴と一致している。なお、印加できる最大磁場12Tでも絶縁体には転移しなかったが、Tc,zeroは4.2K以下であった。 a-軸配向膜では、Rの磁場印加角度依存性に磁場を薄膜に平行に印加した場合でも極小が見られたことからc-軸配向のグレインが含まれることが予想される。また、R-T特性でも超伝導転移が二段になっており、わずかな磁場でc-軸配向のグレインが全体の特性に利いている。 今後は置換量xを変えるなどして、SI転移を起こす試料を作製し、輸送特性を調べたい。