秋田大学工学資源学部
魯小葉,@永田明彦,菅原和久,鎌田真一
我々はこれまで、半溶融・焼結法により多量のBi-2223高温相を生成させるため、組成元素Bi, Sr, Ca, Cuの含有量を変化させ最適出発組成を調べてきた。その結果、化学量論組成よりBi, Ca, Cuに富みSrに乏しい組成で2223相は生成し易く、さらに(Bi1.6+bPb0.4Sr2aCa2+aCu3+cOyBi1.6+bPb0.4Sr2-aCa2+aCu3+cOyにおける最適組成(Bi1.8Pb0.4Sr1.9Ca2.1Cu3.5Oyであることがわかった。今回はBiとPbの量を変えて2223相の生成と組織への影響を検討したので報告する。 原料粉末を(Bi1-xPbx)2.2Sr1.9Ca2.1Cu3.5Oy(x=0; 0.1; 0.2; 0.3; 0.4; 0.5)組成になるように秤量し、遊星回転式ボールミルで30分間混合した。混合した試料を800℃で12時間仮焼した後再び遊星回転式ボールミルで30分間混合した。これらの仮焼粉末を2mm×3mm×15mmに圧粉成形し、銀板上にのせ875℃で1時間半溶融後室温まで炉冷し、さらに840℃でそれぞれ48、144、240時間焼結した。これらの試料をX線回折、帯磁率測定、SEM、EDX、DTAなどにより結晶構造と組成解析を行った。 その結果、875℃で1時間後炉冷したPbフリー試料(x=0)は主に2201相より構成され、Pb添加した試料(X≧0.1)は主に2212相より構成される。840℃で焼結時間の増加にしたがって、Pbフリー試料の2201相は2212相に生成し、x≧0.2試料の2212相は2223相に生成した。(Bi1-xPbx)2.2Sr1.9Ca2.1Cu3.5Oyにおける半溶融・焼結により多量の2223相を生成するための最適組成は(Bi1.76Pb0.44Sr1.9Ca2.1Cu3.5Oyである。Pb添加量の増加にしたがって、超電導相の溶解温度は減少し(0≦x≦0.2)、続いて増加した(0.2≦x≦0.5)。x=0.2の組成の超電導相の溶解温度は一番低い。これは2223相生成し易い原因の一つと考えられる。