Nbの人工層状ピンニングセンターを有するNbTi超電導多層板の超電導特性

新日鐵先端研,京大工院A,京大工B

@大塚広明,伊藤郁夫,小熊英隆A,長村光造B


 Nbの層状ピンニングセンターを有する人工ピン型超電導多層板が特に2T以下の低磁場下で人工ピン多芯線材と比肩しうる高いJcを持つことを発表する。 本材料は、Cu-3Ni-0.6Si-0.2Zn合金マトリクス中にそれぞれ500層以上のNb層とNbTi層が交互に積層した構造を有するもので、本材料を全厚40ミクロンまで圧延したもの(NbTi層厚設計値=Nb層厚設計値=19nm)の1TにおけるJc値は15,000A/mm2、0.5TにおけるJc値は20,000A/mm2と極めて高いJc値を示した(磁場は試料に平行な場合)。これまで、超電導/常伝電導の層厚を単に薄くすれば界面ピンによりJc値が向上することは予想されていたが、実際に試料を製造しようとするとピンニングセンターとして適当な厚さになるまでに層構造が乱れ、その効果を確認することが困難であった。今回析出硬化型Cu合金をマトリクスに使用することにより、かなり薄い板厚まで層構造を健全に保つことが出来、比較的低磁場のみであるが、層状ピンニングセンターの有効性を確認することができた。