超電導熱線流速計の開発

筑波大学大学院,筑波大学大学院A,筑波大学機能工学系B

@大久保宏祐,古川徹,村上正秀


 超高レイノルズ数流れにおける乱流においては、コルモゴロフスケールが極めて小さくなり、既存の熱線流速計では大きさ・応答性が共に不十分となり、正確に流速を測定することが出来ない。我々はこの領域において流速測定の可能性のある、超小型・高速応答性の熱線流速計を開発した。 この種の流速計を実現する方法の一つとして期待される技術が、フランスで開発された超伝導熱線流速計である。しかし、この超伝導熱線流速計ではセンサーエレメント部分の超伝導転移温度の関係で、4K程度の温度でしか使えないことが問題点である。本研究室ではこれまでに、超流動ヘリウム相からの蒸発現象の計測などに用いている、高感度・高応答性の薄膜型超伝導温度センサの開発にはすでに成功している。そこで本研究では第1段階としてこの温度センサーをモディファイすることにより、極低温環境下でも使用可能な、超伝導熱線流速計を開発した。また、これに伴う校正に必要な校正用小型ヘリウムガス風洞の開発も行なった。 流速計のエレメントの部分には、金と錫を真空蒸着した超伝導物質を用いている。エレメント部分の幅は製作初期段階と言うこともあり2ミリとやや大きめである。製作した校正用風洞の性能による制限で、4m/s程度までにおいてしか校正がされていないながらも、このセンサーを用いることにより、温度2K程度のヘリウムガスの流速を測定する事が可能である。