歪みゲージを用いた極低温熱膨張率の計測

金材研,東工大理A

沼澤健則,@荒井修A


 知的基盤推進制度による極低温熱物性計測技術標準化の一環として、歪みゲージを用いた極低温熱膨張率計測法について検討した。ほとんどの構造材料は20K以下で熱膨張率変化を示さなくなるが、ここでは20K以下で特異な温度依存性を持つと期待される磁性材料を取り上げた。結晶構造転移を有するDyVO4Hは比熱および熱伝導率の異常が約14K近傍で見られる。極低温の疲労試験で使用される歪みセンサー4個を用いブリッジ回路を構成する歪みゲージを作製し、熱膨張率の計測を試みた。この結果、室温からの変化率として約3.5E-5程度の異常な変化が14K近傍で観測された。熱膨張率の相対分解能は1E-6程度と見積もられ、歪みゲージを用いて簡便かつ迅速に熱膨張率計測が可能であることがわかった。