超電導磁気エネルギー貯蔵装置(SMES)や、核融合実験装置で用いられる超電導コイルにおいて、高磁界化、大電流化に伴って発生する巨大な電磁力が問題になっている。この問題を解決する方法として、著者らはトーラス型可変ピッチヘリカルコイルである電磁力平衡コイルを提案してきた。電磁力平衡コイルは、大半径方向に生じる向心力をフープ力で平衡させたコイルで、ヘリカル巻線を可変ピッチとすることで転倒力も低減可能となるコイルである。これまで1MWh級SMESの概念設計の検討結果より、電磁力平衡コイルは、特に小アスペクト比（大半径／小半径）のトロイダル磁界コイルで問題となる向心力を大幅に低減できることだけでなく、超電導導体の利用効率も向上できることを示してきた。しかし、小アスペクト比の可変ピッチヘリカルコイルが実際に製作可能であるかどうかが新たな問題点となる。この問題を解決する方法として、著者らは専用の可変ピッチヘリカル巻線機を開発した。この巻線機を用いて製作する電磁力平衡コイルとして、最も製作が困難であると予想されるヘリカル巻数３の場合について検討し、トーラス外直径約1.1 m、内直径約26 cm、高さ約46 cmのコイルを設計した。講演では、開発した巻線機の主な仕様、コイルの製作状況について発表する予定である。