LHDヘリカルコイルの常伝導転移解析

核融合研,クルチャトフ研A

@柳長門,アンドレイV.ガヴリリンA,今川信作,三戸利行,岩本晃史,力石浩孝,濱口真司,西村新,中村幸男,佐藤隆,佐藤定男,本島修,LHDグループ


 大型ヘリカル装置の超伝導ヘリカルコイルには、アルミニウム安定化材を有した複合超伝導導体が浸漬冷却方式のもとで用いられている。1998年10月に行ったトロイダル磁場強度2.75 Tまでの励磁試験の際に、ヘリカルコイルから常伝導転移が生じ、コイルクエンチに至った。バランス電圧信号の解析より、常伝導部は最内層ブロックより生じ、20 mの長さまでの伝播後、一度、回復に転じている。しかしながら、その直後、ヘリウム気泡の集積に伴うと考えられる断面内伝播が生じ、中間ブロックおよび最外層ブロックの常伝導転移も伴って、電源回路の緊急遮断が行われた。短尺導体試験、モデルコイル試験、および、数値計算を用いた解析によって、ヘリカル導体が、当該通電電流付近より動的に不安定になり得ることが示された。これは、アルミニウム安定化材における電流拡散時間が比較的長いことが原因であり、最小伝播電流以下の通電電流においても、有限時間、有限長さの常伝導伝播が生じるためである。