酸化物超伝導テープ線材の交流損失測定(2)

 酸化物超伝導テープ線材は電力ケーブルをはじめ電力機器などへの応用が期待されている。それらの応用の際、線材は輸送電流と磁界の様々な環境にさらされることになり、大きな交流損失が発生する。この損失の測定法としては、従来より交流四端子法やスパイラル状電圧端子法が報告されている。しかしながら、いずれも輸送電流と磁界の様々な環境下での交流損失測定法としては一般的でなく使用条件が限られている。そこで我々は、より一般的な環境下でのテープ線材の交流損失を測定する方法として、ポインチングベクトル法による新しい方法を前回提案した。本測定法はテープ線材の全周にわたりポインチングベクトルを求め交流損失値を得る方法である。そのため輸送電流、外部磁界の様々な状況下での交流損失測定が可能であり、基本的に使用条件に制限はない。今回、Bi2223銀シース線材を用いて通電損失(自己磁界損失)、横磁界損失をはじめ、いくつかの使用条件下での測定を行った。