高温超伝導テープ線材における交流通電損失は,超伝導体自身から発生するヒステリシス損失に支配され,その振る舞いは超伝導コアの多芯化により影響されないことが明らかになっている。しかし,最近になって線材断面において超伝導フィラメントの配置が異なる7芯テープ線材では,損失の振舞いが変化するという結果が報告されている。本研究では,Norrisの理論に基づいた数値計算法を用いて,ツイストを施していない多芯テープ線材の交流通電損失特性の解析を行った。解析の結果,7芯テープ線材の通電損失の振舞いは楕円モデルの損失理論値に一致しないことが分かった。更に線材断面における超伝導フィラメントの配置により通電損失の振舞いは変化することが明らかになった。