面状ピンにおける磁束運動と電流-電圧特性の異方性

 面状ピンにおける磁束運動に関して,熱擾乱の影響を考慮したFokker-Planck 方程式を解き,非線形電流-電圧特性について理論解析を行った.輸送電流に平行な方向に生じる longitudinal electric fieldE|| や 垂直な方向に生じる transverse electric fieldE の電流密度 J に対する依存性が,J の方向(輸送電流の方向と面状ピンとのなす角)θやピン止め力の強さ(ピンポテンシャルと熱活性エネルギーとの比) p,及びホール効果の大きさに応じてどのように変化するか調べた. 磁束線の面状ピンにおける運動の方向は J や p によって変化し,この磁束運動方向の変化が E|| や E に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.また,θの値によっては,E|| や E が p の増加とともに増加したり,E の J 依存性にピークが現れる場合があるなど,等方的なピンの場合にはあり得ないような,非常に興味ある特異な振る舞いを見いだした.