本研究では、臨界電流の酸化物層厚さ依存性を測定し、Bi-2212/Ag線材超伝導層内部での臨界電流分布について考察した。溶融凝固法プロセスを適用して25mm厚の超伝導層を50mm厚の純銀基板上に形成した。試料長手方向試料中央部に、長手方向を横断するような溝を機械的研磨によって成形した。溝の深さを変えた試料を準備して、溝を横断する部分の臨界電流を測定した。臨界電流と酸化物層厚みの関係の1次微分が局所的臨界電流密度を与えるとして、酸化物層内での厚さ方向の臨界電流密度分布を求めた。この結果、銀界面から厚さ5mm程度までの酸化物層は3.3x105A/cm2の高い電流密度を示すことが判明した。また、臨界電流密度の分布は微細組織とも良好な対応を示している。