Bi1.8Pb0.4Sr1.9Ca n-1CunOxにおける相の 平衡と顕微鏡組織

Bi系酸化物超伝導体には2201相、2212相、2223相と呼ばれる 3種類の超伝導体相が存在することが知られている。しかし、この系では その状態図はまだはっきりと確立されていない。昨年の日本金属学会の秋 期大会で我々は820-1000℃範囲でBi1.6Pb0.4 Sr2Can-1Cun Oxにおける(Bi,Pb)-Sr-Ca-Cu-O系の擬二元状態図を提案 した。今回ではBi1.8Pb0.4Sr1.9 Can-1CunOx (1≦n≦10)を出発組成として、熱処理条件を変え、結晶構造、相の生成 と平衡、組織観察を検討した。 原料粉末をBi1.8Pb0.4Sr1.9 Can-1CunOx (n=1,1.1,1.3,1.5,2,2.5,3,4,5,7,10)組成になるように混合、仮焼、 粉砕を行い、圧粉成形により2×3×15mmのバルク試料を作製した。 これらの試料をAg板上に乗せ840℃-100hと870℃-1hの熱処理後 室温まで炉冷および空冷した。また、これらの試料とは別に、仮焼粉 末をAg板に塗布し、860℃から900℃まで種々温度で20分間加熱後、 室温まで炉冷および空冷した。バルク試料についてはX線回折、交流帯 磁率測定を行い、塗布した膜状試料についてはX線回折、光学顕微鏡、 SEM観察とEDX分析を行った。また、仮焼粉末を用いてDTA測定も 行った。   その結果、試料の溶融開始温度はn=1、1.1では約870℃であり、 n≧1.3では約865℃である。870℃-1hの熱処理後室温まで空冷し た場合、主に2201相、炉冷した場合、n=1、1.1の試料で2201相、 n≧1.3の試料で主に2212相が生成する。また、840℃で100h焼結 することによって、n≧2.5の試料で2223相が生成する。